匠とは
自分の持つ力
生まれ育った環境
手に入れた技術
己が何たるかを的確に理解し
己の存在を世に広く伝播させ、
人々に喜びをもたらす人
大学時代のアルバイト経験が焼鳥との出会いと語る竹田英人氏。卒業後は知り合いの紹介で佐賀の唐津にある有名焼鳥店で経験を積む。ミシュラン星獲得店として北新地の堂島中通りに君臨する「焼鳥 市松」。鳥の匠「竹田英人」店主に話を伺った。
竹田英人氏にインタビュー
■焼鳥との出会い
大学時代のアルバイトが焼鳥屋で、面白いなぁと思ったのがきっかけです。
鳥って宗教上あかんと言うのがないでしょ。
箸もフォークも使わないんで、全世界に通用する日本の料理なんですよ。
■修業時代
自分を苦しめる為に住み込みで修業したいなぁと思って、
知り合いに佐賀の焼鳥屋を紹介してもらったんです。
九州って焼鳥屋が多いんですけど、けっこう厳しかったですねぇ
でも僕は修業は1年だけって決めてました。
絶対一年でモノにして帰るって。
修業生はいっぱいいて、まずそいつらをやっつけてからやと。
まず一番にならな店なんてできるわけない思った。
戦いもあって苦しかったんやけど、将来こうしたいという夢があったので。
ぜんぜんクリアできましたね。
でも今考えたら修業なんて楽なもんですよ。
いい思い出ですね。やってよかったです。
100席ぐらいあるとこで先輩ら押しのけて
「俺に焼かせろー」ゆーて汗だくになって焼きまくって。
ほとんど喧嘩ですよ。
先輩たちが「あーしんど」って言ったらチャンスです。
僕代わりますって言って。ばーって奪って奪って仕事奪いまくって。
ただ大将には怒られました。順序があるんや、お前には早いって。
いっぱい言われたけど隠れてやってましたね。
めちゃくちゃな大将でしたけどすごい面白かったですよ。
今でも感謝してるし、その弟子たちは今でも大成功して有名店が多いです。
もう大将は亡くなりましたけどね。
■焼鳥 市松のこだわり
まず焼き鳥といえば素材の料理なので、腕はその次かな。
素材をどう仕入れてくるかのが一番かとおもいます。
生産者と仲良くなって、秋田まで足を運んで
良い鳥が届いた時も、悪い時も連絡入れます。
このブランドさえ使ってればいいというわけでもなく、
そのブランドの中で一番いいモノが欲しいので、
その日の一番ええのよりも、もっと良くなってもっとええのが欲しいから、
もっと生産者と話して、生産者もレベルアップして、
ほならうちもレベルアップしていってというのをずっと私は続けています。
比内地鶏は脂はあっさりしていて飽きない。
きれいな油なので何本でも食べられるんです。
それで比内地鶏を選びました。
■料理のスタイル
12,3年前に、今までなかった焼鳥をしたかったんで、
みんながやっていないコース仕立ての、新しくて話題になるような
料理をしていったんですけど…
徐々にいろんな焼鳥屋さんが創作焼鳥を出されるようになったんです。
創作の才能がある方が多くて、そっちで勝負しても勝てないなぁと
思ったのと、自分の性格的に突き詰める方が好きなので
シンプルな焼鳥に戻す方向に変わってきましたね。
素朴で力強いプラスちょっと面白いぐらいの組み立てですね。
豚バラ焼いてパッションフルーツかけたりね。
■匠のチカラとは
言葉の通じない海外で
言葉が無くても、向こうの人に合わさんでも
伝えられる「何か」を持ってることですね。
例えば日本の歌は日本語で歌わないと良くないですよね。
英語に変えてもよくない。
だから僕らのものは僕らのもので相手と向き合えばいい話で、
相手に合わせなくてもそれで伝わると思うんですよ。
僕はほんまに焼き鳥やっててよかったなぁって思います。
自分が持ってるものを大事に、
どうやって広げていくか、
チカラをもっと持たなあかんなぁと思ってます!
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