匠とは
オールラウンダーかな
食に対しても技術に対しても接客に対しても
全て兼ね揃えた人。
酒だけじゃない。
酒だけだと嗜好品、プロが作れば同じ味になる。
それでも人が集まってくるのは
全てを兼ね備えた人だから。
妥協することなく全てを揃えてこそ匠だと思います。
高校卒業後、父や親戚の影響で6年間とび職人の経験を積み、23歳でバーテンダーに転向。北新地の有名バーにて11年間修業を積んだ後、北新地は堂島中通りに「BAR荻窪」を開業。最近では雑誌や全国紙でのカクテル紹介コラムの執筆や講演会登壇など、広報活動にも積極的な酒の匠「荻窪誠」マスターに話を伺った。
荻窪誠氏にインタビュー
■バーテンダーになったきっかけ
父親含め男性の親戚はとび職で、母親や女性の親戚の仕事はスナック。
ある意味家系というか、血筋かな。
高校卒業後はとび職で6年間勤めてたけど、お酒集めるのが好きで
カクテルを作る為のリキュールやジンを50本くらい集めて、
シェイカーも集めてはじっくり眺めてました。
…集めて置いてたら、作りたくなりますよね。
本を買ってその通りに作ってみたんです。
それが不味かった。
美味しく作るには「腕」だなと思って思い切って仕事を辞めて、
バーの面接を30店くらい受けました。
ことごとく落とされましたが、最後まで残れたのが北新地のバーでした。
特に師匠から厳しく指導されたわけではなくて、
元々未経験で飛び込んだこの世界だから
とにかく酒を飲んで「勉強」しました。
仕事終わってから飲みに行って、通算で2千万円は使ったと思います。
飲まないとわからない。
あと技術面はひたすら練習です。これも仕事が終わってから。
シェイカーにお米入れてリズムを身体に刻み込む。
通常は2段振りのところ、僕のシェイクは3段振り。
日本人は2拍子は得意だけど、3拍子はタイミングが取りにくいから
とにかく毎日電車で123、123と身体に覚え込ませました。
人と違うことがしたくて!
ハードシェイクの3段振り。新地でもほんとに少ないと思うよ。
■こだわりについて
お客様にいかに楽しんでもらえるか。
お酒って誰と飲むか、どこで飲むかで味が決まるからね。
極端に言うと、缶ビールでもそうでしょ。
あと、うちはバーですが料理もこだわりです。手作り一品料理。
この時代酒だけじゃアカンと思っています。
元々料理が好きで、美味しい食事を食べに行ってはコピーして
その料理を再現するんです。
休みの日は材料を買って来て一人でフレンチのコースを
作ったりしてました。
わからないことがあれば知り合いのシェフに作り方を
教えてもらって腕を磨きました。
人気のメニューは、茶そばサラダ、ピラフ、キーマカレー…
色々ありますが、どれもお客様によって作るものを決めます。
■価格設定について
料理もカクテルも全体的に格安にしてます。
新入社員のサラリーマンのお客様も来られるから
そういう人たちにBARというものを知って欲しいと思っています。
安くお酒と料理を提供して、BARを覚えてもらって、
もう1ランク上のBARを知りたかったら紹介するよと。
ただ、技術は負けへんよと言いますね。
開発したオリジナルカクテルを新聞や雑誌コラムで紹介するのも
講演会に登壇するのも、広くBARというものを知って欲しい
という思いからです。
BARは扉を開ける勇気がいるけど
扉を開けたら荻窪さんが居たら入りやすいよねと言われます。
僕良くしゃべるので。
お客様にはルールもお願いする事もないです。
僕の見た目がこんなんやからかもしれないけど
お客様全員良い人です。
■縁とチャンス
修業時代、大先輩からずっと
「チャンスは前髪掴まないと、後ろ髪はもう無いよ」
と聞かされてきました。
独立してこのお店を開業できたのも「人」あってこそ。
開業してすぐ軌道に乗れたのも「人」あってこそ。
でも、その「人」は自分がつかみ取ってきた縁であり
チャンスの結果だと思っています。
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