匠とは
お客様の五感に訴えかけるエンターテイナーである。
どのようにこの店まで足を運ばれるのか
どんな目的で食事に来られるのか
お客様の物語をイメージし
料理人の立場からアプローチする
投げかける声や振舞い
料理の味、香り
器や盛付け
スピード感、演出
お客様のレスポンスを逃さず
ニーズに更に寄り添い
お客様の「WOW!」に繋げる
逃げも隠れもしないカウンター越しの料理人
=エンターテイナーとして
日々洞察力を磨いていく
兵庫県生まれ、沖縄育ち。高校時代に屋台やカフェのアルバイトで
「ゼロから物を作り出す」経験をしたのがきっかけで料理の世界に
のめり込んでいったという来間陽平氏。高校卒業後はブセナテラスへ
料理人として就職した後、ハワイへ渡航しステーキの修業を積む。
帰国後は淡路島の海月館で10年間料理長を務め、コートヤードマリオット、
コンラッド、ハイアットリージェンシーと数々の有名ホテルレストランで
研鑽を積む。2021年11月北新地永楽町通りのPanyo北新地
料理長に就任した肉の匠「来間陽平」氏に話を伺った。
来間陽平氏にインタビュー
■料理人になったきっかけ
きっかけは屋台の出店のアルバイトで作った焼きそばです。
自分の作ったもので人に喜んで頂けるんだという経験に
物凄く感銘を受けたんです。
アルバイトを始めたときは「バイクを買うためにお金が欲しい!」
だったんですけど、モノ作りが面白いと思うようになってから途中で
目的が変わっちゃいました。
高校を出てからも料理の道に進みたくてホテルに就職してレストランで
経験を積みました。大変だったのは、新規開業ホテルのレストランを
2件立ち上げたことです。料理を作るだけじゃなく、お客様に配膳するまでの
動線だったり、タイミングだったり。初めてのことばかりで戸惑いましたが、
目に見えない物事をイメージして決断する力が鍛えられました。
■Panyo北新地について
ホテル以外のレストランや個人店で勉強したいと思っているときに
Panyo新店オープンのお知らせをSNSで見て、土日限定で良ければ
働かせて欲しいと頼んだのがきっかけです。平日はホテルで、休みの日に
勉強させて頂けないかと思い応募しました。
ホテルのレストランはお客様との距離が近そうで遠いんです。
例えば「あれ食べたい、こんなの食べたい」とお客様からご希望を伺ったときに
ホテルだと企業として承認手続きが必要で、すぐにお応えすることが出来ないこともありました。
もっとお客様のニーズに合ったことがしたいと感じていたときに
Panyoの「肩肘張らずに本格的な鉄板焼きを」という理念に触れて
物凄く感銘を受けてしまったんです。本格的なのに肩肘張らないという
アンバランスさの中にお客様に寄り添うイメージが強く沸きました。
そんな時に社長から「一緒に働きたい」とストレートにお誘いを頂きました。
当初はアルバイトを兼ねた勉強のつもりで入ったPanyo北新地でしたが
社長のありがたいお言葉にしっかり向き合おうと覚悟を決め料理長に就任致しました。
■こだわりについて
・時間、タイミングのこだわり
料理が美味しいのは絶対条件ですが、お客様のニーズに合った「時の感覚」に
特にこだわっています。北新地という街の特性上、同伴のお客様もいれば
接待のお客様もいらっしゃって「なるべくニーズに合ったお料理のタイミングを」
というのを常に考えています。
また、料理をベストな状態でお召し上がり頂けるように、演出を使って
お客様を誘うこともあります。例えば、前菜でドライアイスを焚いて、
ボコボコ白い煙が出ているうちに楽しみながら料理を口に運んで頂くことで、
料理にとっても、お客様にとってもベストなタイミングでお召し上がり頂くことができます。
・サービスへのこだわり
私達が「WOW(ワオ)サービス」と呼んでることがあって、いい意味で
お客様がびっくりするようなことをいつも考えています。お客様にお出しする
お水にレモンやミントを入れるお店は多いと思いますが、うちでは
デトックスウォーターを提供しています。季節の四季折々のフルーツをふんだんに
使って「チェイサーにいかがですか」とお勧めしているんです。
これもWOWサービスの1つかなと。それがポイントみたいに積み重なって
リピートに繋がるんじゃないかと私達も楽しみながらWOWを生み出そうと
工夫を凝らしています。
他にも様々なWOWサービスを用意していますが、お客様が実際にお店に
いらっしゃったときのお楽しみとさせてください!
・素材のこだわり
お肉は松坂牛や国産牛をベースにして、その時に入るお肉から最良のものを
業者の方に目利きして入れて頂いています。老舗のお肉屋さんで、いつも
良いお肉を入れて頂けるので全幅の信頼を置いています。
お客様にお出しするときには肉汁をお楽しみ頂けるように、低温調理で
ふんわり柔らかく調理しています。メインの肉料理では「鉄板」と「グリル」
どちらで焼くかお客様にご希望を伺ってお選び頂いています。
お野菜やお魚は、自分で市場に足を運んで食材を見るようにしています。
朝5時に市場へ行って7、8時くらいに朝市ファームというところを回って、
それから一番早い時間に開店するスーパーマーケットへ行って、今日は何が出てるん
だろうというのを見ます。初物を見たくて。
今出回っているものの価格帯も同時に見れるので、この3カ所は必ず回るようにしています。
ここだけの話、魚屋さん2軒から
「一緒に仕事しましょう!一緒に目利きして回りましょうよ!」と
本気のスカウトが来たこともあります。
食材へのこだわりも、お客様に初物を食べてもらいたいという
WOWに繋がる考えから来ています。
■エンターテイナーとしての料理人
他の料理人の方にとっても当然のことだろうと思いますが、やっぱり何かして
お客様に喜んで頂きたい、それが「うまい」の一言なのか、大将の顔を見たいなのか、
それぞれあると思います。
私たち見ての通りカウンターに囲まれていてお客様から隠れる場所が無いので、
その分お見せすることが多いわけです。もうどうやって楽しむか、しかないですよね。
テーマパークのキャラクターショーみたいですよね!
そう考えてみると、やることは違うんですけど根っこは同じなのかもしれないな
という考えに辿り着きました。
食も究極のエンターテイメント。キャラクターショーも季節の料理も初物も一緒だなと。
手を抜きたくないのも、寝る間が惜しいのもそれがお客様のWOWに変わればいいな!
と強く思っているからですね。
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ランチ営業