匠とは
本質を忘れず
当たり前のことを当たり前にできる人
生産者、料理人、お客様、そして生産者へ。
それぞれの立場、想いを繋ぎ
一つの大きな循環を創り出す
数千、数万の根から吸い上げた大地の恵みを
数千、数万の葉に送り届ける
太い木の幹として、細部まで行き渡る枝として
料理人は地に足つけ大きく手を拡げていく
兵庫県出身。高校卒業後、大学に通いながら名古屋の高級イタリアンレストランで
2年間、卒業後は数々のホテルやレストランでフレンチの腕を磨き、大阪市福島区の
ミシュラン掲載店「il luogo di TAKEUCHI」で2年間研鑽を積む。2020年には世界初
のルイヴィトンとのコラボレーションレストラン「SUGALABO V」スーシェフに就任。
2023年、北新地「Feu」のオーナーシェフを歴任し、2024年2月新地本通りの
「SANADA」オーナーシェフに就任したイノベーティブの匠「真田典之」氏に話を伺った。
真田典之氏にインタビュー
■料理人になったきっかけ
ずばり、サッカーです。
子供の頃からずっとサッカーをやっていて、大学もスポーツ
推薦で入学したんですが、入って半年で試合中に怪我して
選手としての道が途絶えてしまったんです。
ちょうどその頃に料理と出会って、以来ずっとこの道です。
この怪我がなければ料理人の道を進むことはなかったなと
今では思っています。
始めは軽い気持ちでアルバイトでも、と思い大阪の
イタリアンレストランに入ったのですが、名古屋の本店
から来たシェフに気に入られたみたいで、すぐ本店へ
連れて行かれました。そこからが厳しい修業の始まりです。
いざ入ってみると周りは料理専門学校を卒業した人ばかりで
同年代でも副料理長や部門シェフを任されていました。
基礎のない私はほぼ泊まり込みで朝5時に出勤、翌2時3時に
みんなが帰ってから自分だけ残って復習をしました。
半年間ほぼ24時間営業でしたね(笑)
2年間修業を積み、大学卒業後は大阪でホテルや
レストランでフレンチを約3年、その後イタリア料理の
「il luogo di TAKEUCHI」で2年間修業を積みました。
■SANADAオーナーシェフ就任について
私の料理の考え方に大きく影響を与えたのは「SUGALABO V」です。
須賀シェフの下でスーシェフとして経験を積みましたが
自分のこれまで通ってきた道がイノベーティブ・フュージョンの考え方に
ぴったり合わさった感覚を掴みました。
その後「Feu」ではお客様、生産者、食材全てと向き合う機会が増え、
より現在の営業スタイルに近いスタイルで料理を提供するようになりました。
そしてこのお店「SANADA」ですが、実は1年以上前からこの場所が
気になっていて、ここで生産者とお客様を繋ぐお店をやりたいと思って
いたんです。縁あって出店が叶い、2024年からオーナーシェフとして
お店に立つことができました。
■イノベーティブ・フュージョンについて
各々のシェフのインスピレーションでできる料理がイノベーティブです。
私の場合は世界各国の料理の集合体。欧米各国やアジア、東南アジア
まで本当にいろんな国の料理をミックスしています。
ジャンルで括ってしまえば「イノベーティブ・フュージョン」ですが、
私の料理の最大の特徴は、一つの食材を一つの皿でテーマ設定し
この食材の美味しさを最大限発揮できる料理法はなにかを
追求することです。
■こだわりについて
食材そのものだけでなく、食材に乗ってくる生産者の想いを
お客様に伝えられるよう最高の料理を提供することにこだわっています。
アドレス帳を見たら、繋がっている生産者が全国で800軒を
超えていました。旬の時期に連絡を取って食材を集めるだけでなく
月に1、2回は地方の生産者に顔を出したり、ワイナリーで収穫を
手伝ったりしています。
現地の方のお話を聞くと食材一つ一つに対する思いや特長が
浮かび上がり料理のアイデアに繋がりますし、生産者が
また別の生産者を繋いでくださることもあります。
SANADAのロゴマークは「木」の形です。
根っこが生産者、その根っこと繋がっている木が私たち、
そして木と繋がっている葉っぱがお客様を表しています。
根で作られた養分が木の幹を通って葉に届き、葉はまた土となり
根の養分となります。この循環を作るためにSANADAが存在
しています。
私の名前の付いたこのキャビアはアラン・デュカスシェフ監修の池で
丁寧に育てられたチョウザメの卵を使っています。
多く流通しているのは塩分濃度8%くらいですが、このキャビアは
日本人の味覚に合わせて3.4~3.5%に調整して塩漬けした
優しいキャビアです。炊きたての白米にたっぷりかけて食べるのが
魚卵好きの私のおすすめです。素材の良さや絶妙な塩加減のとりこに
なること間違いなしです。
■大切にしていること
料理でいえば食材の背景には生産者がいることを
絶対に忘れないようにしています。
お客様に対しては、ただただ食を楽しんでいただくことが大切だと思っています。
料理の味はもちろん、私たちの所作やプレゼン、パフォーマンスすべてが
食を通じたエンターテインメントだと思っています。
その日その時にしか味わえないサプライズもお楽しみください。
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