匠とは
知識や技術だけでなく
すべてを極め
人間として尊敬される人である
自分がその場に居なくとも
店全体が「匠」と呼ばれるように
空間を常に仕上げておく
日々腕を磨き
場をととのえ
今日のお客様との出会いを
最高のものにする
山口県生まれ、兵庫県育ち。高校時代に出会ったカクテルの書籍の
影響でバーやお酒に興味を持つようになったという高面氏。
高校卒業後、大阪市内の複数のバーで10年間経験を積み、
ソムリエ資格を取得、その後20年以上にわたりバーや飲食店で
バーテンダー、ソムリエとして腕を磨く。2022年6月新地本通りに
開業のWine Bar Lianソムリエに就任した酒の匠「高面直之」氏に話を伺った。
■ソムリエになったきっかけ
きっかけはカクテルの魅力に惹かれてバーテンダーになったことです。
高校時代に知り合ったバーで働いている人がカクテルの本を持っていて
自慢げに見せられたんです。すごく写真が綺麗で見とれてしまったことを
今でも覚えています。
将来バーで働いてみたいなぁと憧れを抱いたのもこの頃で、高校卒業後すぐ
約70席の大型店のバーでアルバイトとして入店しました。
そういう時代だったのかもしれませんが、私が入った頃は諸先輩方の指導は
厳しかったですよ。ミスしたらカウンターの中でお客様に見えないように
足を蹴られたり、何もしてなくても蹴られたり(笑)今やったら絶対ダメですね!
100種類以上あるカクテルのレシピを覚えたり、次々入るオーダーを受け
お客様に提供する流れを組み立てたりと、バーテンダーの基礎を身に着けました。
慣れた頃には伝票を一度も見ることなくお酒を出し切って、一日が終わったら
どのテーブルの誰が何を飲んだか全て言えるようになっていました。
伝票の文字面だけでは覚えられませんが、注文を聞いて、提供の流れを組み立てて
ストーリー化すれば全て覚えられます。
例えば、同テーブルのお客様がカクテルとビールを注文されたときは
サーバー係がビールを入れるタイミングに合わせてカクテルを仕上げる。
注文一つ一つに小さなストーリーがあり、それらを繫げて記憶すれば
忘れることはありませんでした。
ソムリエになる直接のきっかけは2店舗目に勤めたバーで、
オーナーからワインバーをやるぞと号令が掛かったことです。
バーテンダーになって10年ほど経った頃でした。
名酒事典という電話帳みたいに分厚いお酒の事典があって
3分の1はウイスキーとカクテルのページで、仕事で覚えるために
熟読していたのですが、残り3分の2がワインのページなんです。
「3,000円で買ったけど、3分の2は読むことないなぁ」と内心思っていたところに
オーナーの号令があり、突如ワインの世界に足を踏み入れることになりました。
事典を読んでいるうちに楽しくなって、理解できると頭にどんどん知識が
入ってきました。スクールにも通いながら村や畑、格付けを覚えて
知識と実際の味を結びつけていきました。
当時はまだワインも安くて五大シャトーでも1万円強で買えた時代です。
それでも何本も自腹で飲める金額じゃないので、安価で近い種類のものを
飲んで、「これよりもっといい味するんだろうな」とイメージしながら
覚えていきました。
今では軒並み10万円超えていますので、これからソムリエになる方は
大変です。お客様によっては良いワインを私たちの勉強のためにと
残してくれる方もいらっしゃいますので、そういった機会を逃さず
香りや色、味を知識と結び付けていくといいですね。
■Wine bar Lianでの楽しみ方
お好みを仰っていただいて、日頃飲めないようなワインを
グラス一杯から楽しんで頂くのが一番だと思います。
料理も私が作っているのですが、既製品はなるべく使わず、
素材を活かして一から調理することにこだわっています。
パテもこのお店で一から作っているんですよ。
Wine Bar Lianでは月曜日と火曜日は別のソムリエが店に立ちます。
でもお店に来られるお客様にとっては関係のないことで、
私たちは、誰がいても誰がいなくても同じクオリティのお酒、料理、接客が
できるようソムリエ同士しっかり情報共有しています。
■うれしいこと
シンプルに「美味しいね」と仰って頂けるのが一番です。
「こんなの飲んだ(食べた)ことない」と言われるのもうれしいですね。
落ち着いた空間でお好みの料理を召し上がりながら
美味しいワインを心ゆくまでお楽しみください。
Wine bar Lian 亀井美奈子オーナーと
■関連記事も是非ご覧ください。