名門匠 益田光志料理長

匠とは

経験に裏打ちされたその腕前、その発想が

新たな発見と驚きを生む

決まったメニューや食材、時間そして味の好み

何れも制約と捉えず、自身が適応することで

お客様を笑顔にする

料理人としてできる工夫は勿論

お客様の笑顔の為にダンスだって披露する

私という人間を

全身で表現し切るまで

匠プロフィール名門匠益田光志料理長
鹿児島県出身。寿司職人の兄の影響もあり料理人の道を決意。
「山荘京大和」で5年間の修業の後、数々の有名店で研鑽を積み
「料亭柿右衛門」では料理長として約30年間腕を振るった。その後
「有馬山叢 御所別墅」板前に就任、和食にフレンチの要素を取り入れ
新たな料理の世界を切り拓く。北新地永楽町通りの「寿司廣見」で
北新地の寿司店を経験後、2023年10月新地本通りの「名門匠」
料理長に就任した日本料理の匠「益田光志」氏に話を伺った。


益田光志氏にインタビュー

■料理人になったきっかけ

鹿児島県大島郡徳之島という島の出身で、実家はサトウキビ農家でした。
毎年収穫期の秋まで父が大阪に出稼ぎへ行き、たった1か月で1年分の
さとうきび収穫分の給料が手に入り、だったら大阪に住めばいいじゃないかと
畑を全て手放して移り住みました。

兄は先に寿司職人の道を進んでいたのですが
「前略おふくろ様」というテレビドラマを観て自分も料理人に
なりたい、兄の寿司と違うもので色んなことにチャレンジできる
日本料理がいいと思い、京都の「山荘京大和」で修業することにしました。

とても厳しい職場でした。休みがあってないようなもので、唯一の休日の日曜も
先輩の用事で買い物や洗濯、漬物、扉の修繕など雑用で一日が終わりました。

■有馬山叢 御所別墅での経験について

名門匠の料理長として今ここに立てているのは「有馬山叢 御所別墅」での
経験あってこそです。

ある時、フレンチやってみないかと声が掛かったのですが
実は日本料理を担当しながらも前から興味があったんです。
フレンチの要素を取り入れたら料理の流れが変わる、
華やかになるぞと。例えば鱧をガラスの器に入れるよりも
洋皿にソースを引いた方が綺麗になるとか。

外観はフレンチですが、いざ料理を口に入れると
日本料理そのもの、という意外性がお客様に喜ばれ
今のお店でのスタイルに繋がります。

また、御所別墅は10連泊されるお客様もたくさんいます。
食材は一つだけど料理を変えていかなければならないし
お客様のNG食材に対応した料理を考えないといけない。
例えば「エビのポワレ」をメニューにしていてもエビを
使えない、なんてことがあるんです。
そうなるとベースは白身魚をポワレにして、エビを上に乗せればいい。
エビの苦手な方のときはエビを取ればいい。
これに適応できないと板前はクビでした。
今までの修業でこの柔軟さを求められることが最も厳しかったです。
ただ、これほどまでに今に活きている能力は無いというぐらい
貴重な経験でした。

もう一つ、自分で決めたことですが、御所別墅では他の誰もが
やらなかったことをしてやろうと思い取り組んだことがあります。
通常料理人は料理を出し終わったら片付けて帰ります。
私は料理がどうだったか一部屋ずつ聞いて回りました。
支配人や女将からの「お客さん美味しかったって言ってたよ」
だけじゃ満足できなくて。

各部屋に手土産を持って
「お味のお加減はいかがでしたか?何か行き届かなかったら
申し訳ございません」と先に謝れば悪口を言われないし
評価も落ちない。

その時に、この人はこれが好きなんだな、トマトが嫌いなんだな、
と聞き取れたことをノートに書き留める。すると厨房のみんなが
知らないことを知ることができる。お客さんも身近になる。

今のお店でのカウンター接客は各お部屋への挨拶の延長だと思ってます。

匠プロフィール名門匠益田光志料理長

■名門匠料理長就任について

料理人としていつかは新地本通りで働きたいという願望がありました。
有難いことにこのお店のオーナーから、腰を据えてやりませんかと
お誘い頂き、これはチャンスだと思いお受けしました。

有馬山叢 御所別墅でのお料理、江戸前寿司と合わせて、尚且つ
要らないところは省いて磨く。

カウンター越しに直接届くお客様の声に応えるために
料理法を変えて加減を変えて。

コース料理だけどこの方はお肉が先に食べたいか
お寿司が食べたいか、ニュアンスで会話の中から拾う。
生もの苦手なお客様には、お肉焼いてみましょう、
白子はポワレにしましょう、と会話を料理に持って行きます。

■嬉しい瞬間について

お客様に喜んでもらえたときです。
いつも皆さん全員を笑わせたろうと思っています。

休日は趣味のストリートダンスをしています。
一番初めに修業した山荘京大和の近くにあったディスコへ
先輩に連れられて踊り始めたのがきっかけで
それ以来ダンスが趣味になったんです。

お客様からムーンウォークしてと言われたらしますよ。
料理もダンスもお客様に喜んでもらうための
パフォーマンス。自分自身を表現する方法としては
同じことですから。

匠プロフィール名門匠益田光志料理長

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