匠とは
「美味しかった。また来るわ」
そう言ってくれたお客様の心の中に本当に
「またこの店に来よう」
と思わせることができているか
お客様をお見送りするときは
必ず階段の下まで降りて
姿が見えなくなるまで
お客様の背中を見ながら反省会をします
このお客様は本当に今日喜んでくださったんかな
本当に美味しいと思って今歩いてらっしゃるのかな
また来たいと思いながら帰って行かれてるかな
お客様と時間を共有させて頂く以上
楽しんで頂きたいし、僕も楽しみたい
その為には「おもてなし」「気遣い」「心配り」ですね。
高校時代にアルバイト先飲食店の先輩から「日本料理かが万」の
食事や世界観の素晴らしさを聞かされて以来、かが万に憧れていたと
話す佐藤駿介店主。調理師専門学校在学中に念願のかが万でアルバイトをし、
卒業後もかが万へ就職。その後、北新地高級おでん料理店「長樂」で
経験を積み、出汁の技術を学んだという。2019年に独立し、永楽町に
「北新地しえん」を構える鳥の匠「佐藤駿介店主」に話を伺った。
佐藤駿介氏にインタビュー
■鳥料理の道
かが万勤務時代、お客様に芦屋にある焼鳥店に連れて行って頂いたのが
きっかけです。
こんなに人を感動させられる焼鳥があるのかと、思い知らされました。
焼鳥だけじゃなく、アラカルトの料理もどれも美味しいんです。
鳥料理でも色々なメニューがあって、お客様を感動させて、楽しんで頂くことが
できるんやなと思いました。
自分も個性と経験を活かした鳥料理を出そうと心に決めました。
■こだわりについて
《料理》のこだわり
鳥のスープをお出ししているんですが、高火力で鳥の旨味を
しっかり引き出したスープと、沸かさない温度でじっくり
時間をかけて鳥の表面の旨味だけ出して、香りや臭みを出さず
上品に引いた澄んだスープがあります。
それを出したい食材に合わせて使い分けています。
寒い時期だったら薄いスープをお客様がいらっしゃってすぐに
お出しして温まって頂いてます。
《食材》のこだわり
鶏は宮崎日南の地頭鶏(じとっこ)を選んでいます。
飼育日数が通常の地鶏に比べて長いんです。
通常の地鶏は120日前後が基準になるんですが、
地頭鶏は120~150日。肉質は弾力がある分旨味がある。
それでいて脂もしっかり乗っている。
脂と身のバランス、歯ごたえ、口の中でなくなっていくタイミング。
全部がマッチしていると思ったのがこの地頭鶏です。
《炭》のこだわり
炭は紀州の備長炭。一級品を使っています。
今は炭焼き職人が少なくなっているんですが、うちの炭は
最年少炭焼き職人が焼いた備長炭なんです。これが熱い想いを持った職人で。
「技術を後世に残したい。森の環境とのバランスも帳尻を
合わせてやっていきたい。金額は高いがこの先若い職人を
育てていきたいので何とかお願いします」と熱く言うんです。
他の炭に変えようかとも思ったんですが、同じお金を使うなら
そういう信念を持った人に使いたいと思っています。
《おもてなし》へのこだわり
働いてくれているアルバイトの子にも言うんですが、
お客様が、またこの店に来たいなと思ってくれる100点のうち
料理の割合は30点か40点しかないんです。
あとは料理以外、みんなにもかかってるからきちんとしなさいと。
美味しいと思える店よりも、お客様が扉を出ていくときに
またこの店きたいなと思ってくれる店を作っていこうよと
言っています。
■嬉しい瞬間
うちに来てくれて、2回目来て頂けるのはもちろん嬉しいのですが
その時にご家族を連れて来ていただける。というのが一番嬉しいです。
友人にお店を紹介するときの「近いからあそこ紹介しようかな」とか
「君は鳥が好きやからここ行こうか」みたいなそういうきっかけでの
ご来店も大変有り難いことですけど、家族と来られるというのは、
純粋にうちに来ようという気持ちから連れて来てもらえてるんやと思うんです。
土曜日はそんなお客様が多いので、平日と違った楽しみがありますね!
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